|
☆ローテーター・カフのトレーニング
今回は、野球選手ややり投げ選手等、投げる動作を行う競技者にと
って非常に重要な筋群である、ローテーター・カフ(肩腱板)について、
その重要性とトレーニングについてお話します。
● ローテーター・カフとは
ローテーター・カフとは、肩と上腕部を結ぶ4つの小さな筋肉(棘上筋、
棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の総称で、言わば肩の安定装置のような
ものです。これらの筋は非常に薄い形態をしていて、その上を強力な
三角筋、広背筋、大胸筋、僧帽筋等の大きな筋肉が覆っています。
このため、ローテーター・カフをインナーマッスル、外を覆う筋肉をアウ
ターマッスルと呼ぶことがあります。アウターマッスルは、プレスやレイ
ズなどの通常のウェイトトレーニングで鍛えることができますが、ローテ
ーター・カフには、これらの方法ではなかなか刺激を与えることが出来
ません。そこで、ゴムチューブ等を使った特別なエクササイズが必要に
なってくるわけです。
それでは、なぜ小さく薄い内側の筋肉であるローテーター・カフを鍛え
なければならないのでしょうか。ボール等を投げる動作において、ダイ
ナミックな動きを作るのは、大胸筋や広背筋等のアウターマッスルな
のでこれを鍛えることはもちろん重要です。しかし、動き全体を支える
役割を持つローテーター・カフがしっかりしていないと、アウターマッス
ルで作られた動作でオーバーストレッチしてしまうことがあります。これ
がいわゆる「肩をこわす」原因の一つと考えられています。加えて、ロ
ーテーター・カフは投球動作等のとき、腕を加速させる、減速させると
いった重要な役割があります。特に減速するときに想像を絶するストレ
スが棘下筋、小円筋にかかるので、これらをしっかりと鍛えておく必要
があります。大胸筋、広背筋、三角筋等のアウターマッスルを強化し
た場合は、同じようにスタビライザーとしてのローテーター・カフも強化
して、バランスのとれた強い肩を作りましょう。
● ローテーター・カフのトレーニング
ローテーター・カフのトレーニングには、重い負荷は使いません。 高
重量を使ったトレーニングでは、外側の大きな筋肉が優先的に働いて
しまうため、極軽めのダンベルか、ラバーチューブ・バンドを使ってトレ
ーニングをします。
◆棘下筋・小円筋の強化
・ 背筋を伸ばして脚を肩幅に開いて立つ。
・ ゴムチューブを柱などに結びつけ、柱から遠い方の手でチューブの
端を握る。
・ 肘を90度に曲げ、脇腹にしっかり固定して、手首を曲げずに外側
に引く(上腕骨を軸として外旋させる)。
・ 戻すときはゆっくりと。
・ 20〜30回を1セットとして、3〜5セット、必要に応じて両腕を同回
数行う。
・ ダンベルの場合は、横向きに寝て、上になる手でダンベルを握り、
同じように外側に外旋させる。
◆肩甲下筋の強化
・ 背筋を伸ばして脚を肩幅に開いて立つ。
・ ゴムチューブを柱などに結びつけ、柱から近い方の手でチューブの
端を握る。
・ 肘を90度に曲げ、脇腹にしっかり固定して、手首を曲げずに内側
に引く(上腕骨を軸として内旋させる)。
・ 戻すときはゆっくりと。
・ 20〜30回を1セットとして、3〜5セット、必要に応じて両腕を同回
数行う。
・ ダンベルの場合は、ベンチ等に横向きに寝て、下になる手でダンベ
ルを握り、同じように内側に内旋させる。
◆棘上筋の強化
・ 背筋を伸ばして脚を肩幅に開いて立つ。
・ ゴムチューブの片端を片足で踏んで止めて、止めた足と反対の手
でチューブのもう一方の端を握る。
・ バンドを持った腕の肘を伸ばしたまま、前方外側斜め上にゆっくり
と引き上げる。
・ 戻すときは、ゆっくりと。
・ 20〜30回を1セットとして、3〜5セット、必要に応じて両腕を同回
数行う。
・ ダンベルの場合も同じように行う。
御殿下記念館トレーニングジムには、専用のゴムバンドと写真入り
のトレーニング表を設置していますので、お気軽にご利用ください。
(講習会受講者のみ)
|
|