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☆もっと詳しく体脂肪2
前回に続き、効果的に脂肪を減らす運動について詳しく説明したい
と思います。
● 脂肪燃焼の適正強度
効率よく脂肪をエネルギーとして消費していくためには、脂肪燃焼に
適した強度を求める必要があります。単純に単位時間あたりのカロリ
ー消費量を比べてみると、強度が強くなるに従って消費カロリーは増
加します。
今回は運動強度を表す単位として、安静時の何倍のエネルギーを消
費するかを表す「MET」を紹介します。
1METは安静時の代謝量を意味するのですが、1時間、体重1kgあた
りの消費カロリーとほぼ等しい(1MET=1kcal/h/kg)ので、これから
消費カロリーを求めることもできます。例えば、時速6kmでウォーキン
グをした場合、3.9METsとなり、安静時の3.9倍のエネルギーを消費す
ることになります。体重60kgの人であれば、1時間で、3.9METs×60kg
=234kcalのエネルギーを消費します。
では、10METsの運動では、600kcal消費できるから効果的だろう、と
いうのは早計すぎます。なぜなら、運動強度が上がると脂質の利用率
が格段と落ちてしまうからです。脂質の利用率の観点から考えると、一
番効率の良いとされているポイントは、最大酸素摂取量(ほぼ限界の
強度にあたるときの酸素摂取量)の約50%といわれています。最大酸
素摂取量を求める一番簡単な方法は、トレーニングジムにあるエアロ
バイクの「体力測定モード」を行うことです。それで求められた、予想最
大酸素摂取量に0.5を掛け、その値を3.5で割れば個人の適正脂肪燃
焼強度がMETsで求められます。もちろん、体力がついて最大酸素摂
取量が向上した場合は、さらに高いMETになります。
一般的な運動のMETs値は、
ウォーキングの場合、分速60m=2.7METs、分速100m=3.9METs
ジョギングの場合、分速140m=9.0METs、分速200m=12.4METs
エアロビクスダンスの場合、6〜9METs
水泳の場合、4〜8METs となります。
また、別の方法では、心拍数で規定することもできます。
{(220―年齢)―安静時心拍数}×0.5+安静時心拍数
で求められた心拍数がちょうど最大酸素摂取量の50%ぐらいの強度
になりますので、この心拍数を保つようになるべく長く運動すれば効率
よく脂肪燃焼が可能でしょう。
● 適正な運動時間とは
脂肪燃焼のための運動時間としては、一般的に20分以上の運動が
勧められています。なぜなら、運動を開始した直後は、筋肉内に蓄え
られているグリコーゲンと血液中にあるグルコースがエネルギーとし
て優先的に利用され、これらの糖質がある程度枯渇してから初めて
脂質の代謝が高まっていくためです。
そして、運動時間が長くなれば長くなるほど、脂質の利用効率が高
まり、最大60〜65%になります。ですから20分以上で、できるだけ長
く続けることが必要です。
以前、あるTV番組で、1回10分の運動を1日3回行うのと、1回に30分
の運動を行うのはほとんど効果が変わらないという実験結果を放映し
ていました。それを見た方から、20分以上やらないと脂肪が燃えない
というのは、嘘だったのですか?と質問されたことがありました。もち
ろん、20分以上やらないと脂肪が燃えない・・・ は嘘でしょう。なぜな
ら、私たちは、常に糖質、脂質をエネルギーとして使っている訳で、そ
の利用の割合が問題なのです。
正確にいえば、20分以上やらないと脂質の利用効率が高まらない、
ということになります。そして、1回10分を1日3回で1回30分と同程度
の効果が出るのは、1日を通しての代謝を上げることができるからだ
と思います。運動によって上げられた代謝は運動を止めたらすぐ元
に戻るのではなく、運動後4〜5時間は普段より高い状態になります。
ということは、朝と昼と夕方に10分でも運動をして、代謝を高くしてお
けば、1日の消費量をかなり高めることができるわけです。以上のよ
うなことから、1回10分の運動を1日3回やるよりも、1回20分の運動を
1日3回やった方が断然効果的だと言えます。
上記の要素を十分に検討して、自分にあった運動、強度、習慣的
に続けられる内容などを考慮してがんばってください。
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